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ザクⅡF型

型式番号MS-06ジオン公国軍が誇る汎用主力量産型モビルスーツ
ザクⅠの問題点を解決した性能向上機であり、生産数の多さなどから主にザクと呼ばれる機体はこちらを指す場合が多い。
主にジェネレーターの改良による出力向上及び稼働時間の延長、動力伝達系統の改良等の再設計が行われている。

ザクⅠ同様、フレームはモノコック構造(フレームではなく装甲で機体を支える構造)を採用しているが、ザクⅠ開発時の失敗を踏まえた結果、動力パイプの一部が機体外部に露出している(この問題はMS開発黎明期における技術力の不足が原因であり、後発の新型機では再び内蔵化されている)。
左肩には格闘戦を想定したスパイクアーマーが装備され、右肩にシールドが固定装備されている。
シールドは防御用というよりは流れ弾対策の意味合いが強く、平坦な表面装甲を活用したウエポンラックとして用いられる局面も見られた他、加工して装甲に用いられたりザクⅠなどの手持ちシールドとして用いられた事例もある。
本機の特徴は高い量産性や整備性、新兵からベテランまでに愛用される程の高い操縦性もさる事ながらほぼ無改造で宇宙、重力下、短時間なら水中戦にも対応できる破格の汎用性でありこの性能が一年戦争初期の公国軍の快進撃を支えたと言える。
初期にしてジオン系量産モビルスーツの雛形を形作ったとも言える傑作機であり、後のジオン残党軍やジオン系組織ではザク系統の機体が多数開発、運用されている。

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ザクⅠ

 

ジオン公国軍が最初に制式採用・実戦配備したモビルスーツ
宇宙世紀の歴史上初めて実用化された軍事用モビルスーツである。
開発にはジオニック社からジオン公国軍に佐官待遇で出向したエリオット・レムが携わっている。
モビルスーツ黎明の時代に開発された機体ということもあり、カタログスペック的には後世の機体に劣り、また内蔵火器なども一般的には装備していないが、ミノフスキー粒子影響下での有視界戦闘や歩行、姿勢制御など、MSの基本的なことはこの時点で確立されている。

地球連邦軍との開戦に向けて本格的な軍事用モビルスーツの開発を決定したジオン公国軍では、量産型MSの正式採用に際して競作が行われ、ジオニック社は先に開発した試作機であるMS-04プロトタイプ・ザクを大幅に改良、量産化と汎用性の向上を見据えて装備類を簡略化したYMS-05ザクを提出した。
一方、ツィマッド社はそれよりも高性能なEMS-04ヅダを開発したが、同機はトライアル中に空中分解事故を起こし、その結果安定した性能を発揮したザクが採用された経緯を持つ。

本機は宇宙世紀0074年2月に試作機が完成。翌年7月に量産化が決定し、8月には1号機がロールアウト。
その翌年の11月には初期生産型(MS-05A)27機によって教導大隊が編成され、月のグラナダにて開戦に向けての搭乗員育成や戦技研究、各種試験が行われ、モビルスーツという兵器体系を確立する重要な役割を担った。

その後、教導大隊で得られたデータを基にコクピットの構造や装甲の材質・形状などに一部改良を施され、MS-05Bとして本格的な量産化が行われた。
その総生産数は793機に及んだとされている。

ルウム戦役時等、一年戦争当初こそ、空間戦闘機や宇宙戦艦と比較して機動力も火力も申し分のない革新的な兵器ではあったが、(被弾を考慮してか)機体各部の動力パイプを全て装甲内へと内蔵した(内部の放熱が難しく、且つ機体の容量を圧迫した)ことや、初期の熱核反応炉(ジェネレーター)の出力の低さから、戦えこそすれど、十分な運動性能を発揮することができなかった。

その結果を受け、より実戦的な機体の開発が望まれるようになり、それによって出力向上と冷却装置の強化とそれに伴う総合性能の強化を測った後継機種ザクⅡが誕生する事になる。
ザクⅡ開発後、この機体と区別するため本機は「ザクⅠ」と呼称されるようになった。

一年戦争開戦時には一部をザクⅡと入れ替えた部隊があったものの、生産されたほぼ全ての機体が実戦に投入された。
しかしザクⅡが主力として大量生産・配備されると、性能で劣るザクⅠとの混成部隊を編成・維持するのは難しくなり、ザクⅠはルウム戦役以降は、艦隊決戦後のコロニー内の制圧や補給作業などの第二線級任務に回されることとなった。

だが、大戦後期になっても、ジオンの機体の操縦系統がバラバラで慣れなかった、又は愛着でザクⅠを継続して愛用したベテランパイロットもまた多く、大戦最期の決戦の舞台となったア・バオア・クーに於いてはリック・ドムゲルググといった最新鋭機と肩を並べる一幕もあったとされる。

また旧式とはいえ、立ち回り次第では敵の量産型や戦車、戦闘機には優位ではあったため、部隊の数的不利を補う為に地上戦に於いても運用されたケースも存在する。

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ボール(右)ボールツインキャノン(左)

 

宇宙用作業ポッドSP-W003を改修し、180mm低反動砲を1門装備した、「モビルポッド」に分類される兵器。
製造に手間とコストのかかるジムを支援するべく、数で押すために大量生産された。
もとが作業用ポッドなのでセンサーの有効半径はかなり広く、ザクジムをも上回る為、ジムの火力支援を主任務としている。
一方で、ボール単機種で編成された部隊が投入された例や、サラミス巡洋艦に搭載されパトロール艦隊を形成する例も見られた。
しかし、元々作業用機械である為に素の戦闘力は非常に低く、前線の兵士からは「丸い棺桶」や「動く棺桶」と揶揄された。
機体の大きさは12.8mと、宇宙世紀に運用されたモビルスーツの中でも小型に分類されるゲドラフと比較しても小さい。

マニピュレーターは燃料電池で駆動され、熱核反応炉を持たないため帰還後の冷却が必要なく、モビルスーツ搭載設備の無い艦での運用が可能なのも利点であった。ただし、熱核融合炉を持たない分、高温で推進剤を燃焼出来ない事から推進剤噴射速度が劣り、推力低下で機動性が低いことや比推力低下で推進剤の燃費が悪い。
また、燃料電池の充電容量の限界から駆動部を激しく動かす事が出来ない為、運動性も低くAMBACも出来ない。
ただし、航宙戦闘機であるセイバーフィッシュやトリアーエズではできない後退もできるので、ジム完成までの連邦軍の戦術の幅を大きく広げることに貢献した。
特に、(パイロットの生存率は別にして)その生産効率の高さはモビルスーツが実戦投入されるまで宇宙でのジオンの侵攻の遅滞に非常に役立ったものと思われる。

なお、元が作業用ポッドなだけあって安価で数を揃えやすく、他の作業にも流用出来る等の利点から、モビルスーツが一般化した後も一部のコロニーでは防衛部隊にボールを導入している描写が一部作品で見受けられる。

 

 (ツインキャノン)本機は,初期に建造されたK型と同様のツインキャノン(フィフティーンキャリバー)を搭載した仕様で,第3艦隊(ワッケイン艦隊)所属第1中隊第4小隊リバーマウス隊隊長機など,いくつかの配備例が確認できる。

 

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ガンダムスカイ(ガンダムMAモード)(Gスカイ)

 

ガンダムの下半身にGパーツBメカがドッキングした形態。資料によっては「ガンダム高機動型」「ガンダム・スカイ」とも呼ばれる。

ガンダムの下半身がそのまま戦闘機になった奇妙な外見をしている。
これは設計段階から存在した運用法ではなく、アムロ・レイが対MA用に独自に考案したものである。
GパーツBメカの推力を利用して高速戦闘が可能になった反面、AMBAC機動が損なわれ運動性が大幅に低下してしまう。元々イレギュラーな運用法だった事もあり、対ザクレロ戦でしか使用されなかった。なお、ザクレロパイロットであるデミトリーからはガンタンク共々「出来損ない」と揶揄されている。

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GM

 

型式番号RGM-79地球連邦軍の主力量産型モビルスーツ
V作戦で開発されたガンダムの簡易量産モデルであり、機動戦闘の制御プログラムには、マチルダ・アジャン中尉ホワイトベース隊から持ち帰った、ガンダムモーションパターンが用いられている
簡易量産型ではあるものの、ガンダムが使用した武装は基本的に全て使用可能であり、ベースとなった機体の優秀さもあって汎用性は高い。
名称のGMは「Gundam Massproducts(ガンダムの量産型)」の頭文字が由来であると言われている。

一年戦争当時、ジオン公国軍の主力量産MSザクⅡに圧倒され、これに対抗しうるモビルスーツの大量配備を連邦軍が急いでいたこともあり、性能よりも生産性が重視されており、コストパフォーマンス追求の為に装甲材がルナ・チタニウム合金からチタン系合金に変更され、コア・ブロックシステムも廃止された(ただし、小改造でコア・ブロックシステムを搭載する事は可能。また、この時に並行して作られたコア・ファイターの生産ラインはそのままコア・ブースターへと転用されている)。
初期に生産されたものは量産を急ぐあまり、調整などが不完全な不良品も多かったと言われている。
そのため、完成した機体は性能面ではガンダムに遠く及ばないのだが、ジェネレーター出力自体はガンダムより10%程度しか減少しておらず、まずビーム兵器を運用可能な時点で既にザクⅡを超える性能である。
また、スラスター推力はガンダムと変わっていない上、量産に際して不要な機能を削ぎ落とした事で軽量化が果たされたためカタログスペック上の機動力(パワー・ウェイト・レシオ)はガンダムよりも上である。
以上の点で、設計上はガンダムに匹敵する性能を引き出すことも可能。劇場版ではリック・ドムを撃破するなど侮れないレスポンスを持つ。しかし劇中や派生作品でも大半がやられ役である場合が多く、あまり活躍していないイメージが強い。敵MSを撃破したり、善戦しているシーンも少なからずあるため、結局パイロットの腕次第であるということだろう。

諸説あるが、一年戦争中にバリエーション機も含めて3800機以上も量産され、ザクをはじめとして、ズゴッグドムゲルググといった高性能な量産機を投入するジオン軍に対して、その圧倒的な物量差で一年戦争の勝敗を決定づけたと言われている。
乗り手を選ばない高い操縦性やコストパフォーマンスの面から様々な派生機が製造され、名実共に連邦軍のワークホースとなった。一年戦争を生き延びた機体のほとんどはジムⅡジムⅢといった形で近代化改修され延命、運用され続けている。

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ガンタンク

 

型式番号RX-75地球連邦軍の対MS戦闘車両「RTX-44」を『V作戦』によってMSにリファインした機体。連邦軍初のMSでもある。
搭乗者はリュウ・ホセイ(操縦手)、ハヤト・コバヤシ(砲手)。
頭部と胴体にコクピットを備えるという、モビルスーツとしては珍しい複座式である。

連邦軍が当初MSという概念を正確に理解できていなかった事や、複雑な二足歩行システムの完成を待たずに開発されたため、戦車下半身型の上半身を乗せたようなフォルムを持つ。
もっとも大型の機械を二足歩行させることは非常に困難なため、履帯移動は実は意外と理にかなっている機体でもある。
また、底部スラスターと姿勢制御バーニアを装備しているため、宇宙空間でも運用が可能。ただし、その際はAMBACとしての機能を有さないキャタピラが完全にデッドウェイトとなってしまうので、とりあえず宇宙でも使えるというものでしかない。
そのため劇場版では、ホワイトベースが宇宙へ上がる際にジャブローに残され、代わりにガンキャノンがもう1機補充された。

白兵戦用のガンダム、中距離支援用のガンキャノンと連携して運用するため、本機は長距離砲撃支援に特化した設計になっており、MS本来の白兵戦による近接戦闘は重要視されていない。
そのため、機動力が低い本機は敵機が接近してきた場合はマトモな自衛ができないと言う弱点を持つ。その弱点が顕著になったのがジオン軍の高機動モビルアーマーザクレロとの戦いである。疲れの目立つガンダムアムロを休ませるため、ブライトガンタンクを投入したが、当然、高機動を誇るザクレロに対応できず、ガンタンクはあっという間に撃破されてしまった。

ガンダムガンキャノンと同じくコア・ブロック・システムを採用してはいるものの、これによってターレット機能を装備できなかった。
結果、胴体が旋回しないためキャノン砲を横方面に射角を変えて撃つためには、キャタピラを動かすことで機体自体の向きを変えなければならなかった。そのため、本機は自走砲に近いとされる(後継機であるガンタンクⅡは局地戦用戦闘車両に分類されている)。
しかも急造設計の悲しさで、コア・ファイターのジェネレーターが本体の駆動に活用できない、そもそもコックピットが頭部に別にある時点で脱出できるのは一人だけという難点もあった。
リュウが戦死した後は一人乗りに改修され、コア・ファイター側の操縦系が使用できなくされてしまったので、コア・ブロック・システム採用の意味はほとんどなかったといえる。
一応、キャタピラ部を損傷した際に上半身を強制排除し、それ自体は固定砲台として用いながら、腹部のコア・ファイターを戦闘機として活用する、という運用法も見られた。

長距離支援機として簡易量産型が少数量産された。ガンキャノンジムなどと比べ本格的な量産は行われなかったものの、キャタピラで移動するという特性は慣れない地球圏の重力下での戦闘時に安定性を発揮しており、同時に砲撃時の反動及び衝撃を緩和できた。
これらの点では地上戦向きのモビルスーツと言えるだろう。

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ガンキャノン

白兵戦用のガンダム、長距離支援用のガンタンクと連携して運用することを前提としており、本機は中距離支援に特化している。
最大の特徴はザクⅡの5~6倍とされる機体強度を持っていることである。これはシールドを装備しない代わりに正面装甲をかなり分厚くした結果であり、ガンダムと比べると運動性や機動性こそ劣るが、劇中ではジャイアント・バズの直撃にも耐えている。

中距離支援MSとしての性能は申し分ない程であり、連邦軍は本機を少数量産した他、ガンキャノンの設計をジムに取り入れることでジム・キャノンを生産。さらに戦争末期には、徹底的にコストダウンを図った量産型ガンキャノンを少数ながら投入しており、後の連邦系支援MSの原点ともなった。

尚、ビームサーベルヒート剣などの近接格闘用の武器を持たないため格闘戦になると殴る蹴るの素手で戦うことになり、そのせいかゲームなどでは格闘家的なMSとして調整されている事もある。実際、作中でもアムロが乗った時にはパンチでザクを撃破していた。